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人事制度構築

なぜ「仲良しチーム」は成果を出せないのか?

お互いが助け合うチームか、あるいは互いが競争し合うチームか、どちらが高いパフォーマンスを発揮することができるでしょうか。それともチームメンバー同士は協力しながらも、別のチームとは競争する関係がよいのでしょうか。

一見すると、3つ目の「チームメンバー同士は協力しながらも、別のチームとは競争する」という良いとこ取りの関係が、最も成果を上げそうですが、実験結果は意外なものでした。

実験が示す意外な結果

「馴れ合いのチームはダメだ」という意見の人もいれば、「お互い励まし合うからこそチームなんだ」という人もいるでしょう。カリフォルニア大学デービス校のジンウェン・チャンらが行った研究は、その議論に一定の回答を示しています。

研究者らは大学生を対象に実験参加者を集め、11週間にわたる「運動クラス」への参加を促すプログラムを作りました。その際に参加者は以下の4つのグループにランダムに振り分けられました。

  1. 競争チーム:互いの運動状況をランキング表示し、競争意識を刺激する。

  2. 協力チーム:参加メンバーが「今日のクラスはすごく良かったよ!」、「今日は疲れたけど頑張った!」などと互いに励まし合う。

  3. 競争+協力チーム:チーム内では協力しながらも、他のチーム間ではランキングを表示し、競争を刺激する。

  4. 対象群:比較対象として特になにもせず、個人として参加する。

参加率が高かった上位の個人またはチームには、報酬が与えられました。さて、どのチームが最も「運動クラス」への参加率が高かったでしょうか。少なくとも、4番目の「特になにもしなかったグループ」が最も低い成績だったことは容易に想像できます。しかし、実際には最も成績が低かったのは、2番目の「協力チーム」だったのです!

結果は、「競争チーム」と「競争+協力チーム」がほぼ同順位でトップでした。その次が「対象群」で、「協力チーム」が最下位でした。

なぜ協力チームは成果が出なかったのか?

この結果に驚かれたかもしれませんが、「協力チーム」には、「自分が頑張らなくても、チームの誰かが頑張ってくれるだろう」と他人任せになったり、「みんなマイペースでいいよね、無理しなくて大丈夫」といった甘えが生じたりして、高いモチベーションを維持することができなかったのです。悪く言えば、負け犬同士が傷を舐め合うような状態になっていたのかもしれません。

長期的に最も効果的なのは「競争+協力」?

やはり成果を上げるためには、馴れ合い状態のチームでは良くないことが分かります。ただし、だからといって競争的な関係が必ずしも最適だとは限りません。今回の実験は、11週間という短い期間でSNS上での交流だったため、実際に顔を合わせて長期間の課題に取り組む環境であれば、競争的な関係は長続きしない可能性があります。

「競争チーム」も「競争+協力チーム」も同じような成績でしたが、長期的な視点で見れば、「競争+協力チーム」が最も良いチームになるのかもしれません。