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人事制度構築

採用面接は顔を合わせたその瞬間に決まっている!?

採用面接は、求職者がこの会社で能力を発揮してくれるか、他の同僚と上手くやっていけるかなどを見極めるための、大事はスキームです。

会社によっては事前に様々な質問を用意したり、あるいは求職者と一緒にランチをとったりと、じっくり時間をかけて慎重に行います。しかし、実は採用の可否は求職者と顔を合わせた数秒で決まっているとしたら、あなたはどう思いますか?

数秒の動画で数か月先を当ててしまう

ハーバード大学教授のナリニ・アンバディらは、人の「直観」に関する興味深い研究を行いました。

外部の実験参加者を集め、教育助手の能力や好感度を評価してもらうために、教育助手の表情やジェスチャーを撮影した短い(数秒程度)無音の動画を見せました。そこで評価点をつけてもらったあと、今度は実際にその教育助手の授業を1学期の間受け、その学生に同様の教育助手の評価をしてもらったのです。
すると驚くことに、数秒のビデオを観て直観的に下した評価と、実際に1学期授業を受けた学生の評価が、ほとんど同じだったのです!わずか数秒の判断が、数か月先の実際の評価をみごと当てていたのです。

また別の研究では、政治家の顔写真を実験参加者に短時間見せ、その有能さを評価してもらいました。すると、被験者が顔だけを見て判断した「有能さ」の評価が(候補者をまったく知らないにもかかわらず)、実際の選挙結果を70%の精度で当てたのです。(一目惚れから恋愛に発展し、結婚して幸せな結婚生活を築いているカップルが多いのも納得です。)

人間は瞬時に相手を見抜く

どうやら人間は、一瞬にして相手を見抜く特殊な能力を備えているようです。
おそらく進化の過程で他者を迅速に評価し、敵か味方かを瞬時に見分ける能力が発達したのではないかと思われます。そうでなくても社会性が非常に高い人間は、相手との関係を円滑にするため、無意識に相手の意図や気持ちをちょっとした手掛かりから得るスキルを身に付けています。電話越しの話し声でも、そのトーンや声色で相手の感情を瞬時に察することができます。

一方で、「よく考えてから評価を下してください」と指示を与えると、評価にはバラツキが生じることが別の研究からわかっています。研究者は「深い思考はかえって邪魔になってしまう」とまで言い切っています。

それでは、何時間もかけて慎重に面接をすることは、全くの無駄なのでしょうか。

直観も万能ではない

一概にそうとはいえません。その面接担当者が誤った先入観をもっている場合、間違った評価を下してしまうことは往々にあります。例えば「年配者はテクノロジーに弱い」「女性は営業が苦手」などの一般的なステレオタイプにより、本当は優秀な人材を逃してしまうこともあるのです。また面接のような場面では、「オレオレ詐欺」に騙されてしまうように、求職者に騙されてしまうことがあるかもしれません。

少なくとも人を瞬時に見抜く直観は、人間が持つ天性の能力であり高い精度を誇ります。とはいえ、直観も間違えることがあり、その精度を高める努力も必要といえそうです。