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人事評価や賃金制度、企業型DC(確定拠出年金)導入のポイントなど、経営者や人事担当者に役立つ情報を発信しています。
人事制度構築

科学的に正しい褒め方5つのルール

子どもにしろ、部下にしろ、ほめた方が伸びるというのはなんとなくわかっていると思います。良い成果をほめられれば、だれも悪い気はしませんし、モチベーションも高まります。
しかし間違ったほめ方をすると、かえってパフォーマンスを落としてしまうこともるのです。
例えば、売上を伸ばした部下に対して「君は営業のプロだね、才能があるよ!」といった、つい言いがちなほめ方は、逆効果になってしまうのです。

スタンフォード大学の心理学者ジェニファー・ヘンダーロング教授らは、これまでの「ほめ方」の研究について詳しく調べ、科学的に正しい褒め方を5つのルールにまとめました。目次

  1. 誠実・具体的であること
  2. コントロール可能な要因(努力・戦略)をほめる
  3. 他者比較ではなく本人の成長・課題達成に焦点を当てる
  4. 自律性を尊重する(コントロールしない)
  5. 達成可能で具体的な期待水準でほめる

1. 誠実・具体的であること

具体的なほめ言葉は「自分の何が良かったか」が明確に伝わり、相手の自信と信頼感を同時に高めます。逆に誠実さが欠けたお世辞のようなほめ言葉は、モチベーションを下げる“口先報酬”になっていまいます。

具体例
✕「すごいね!」
〇「今日の提案、冒頭でニーズ調査の数字を示したことで説得力が一気に増したね」

短くても “行動+効果” を入れることで「本当に見てもらえた」という内的報酬が生まれます。

2. コントロール可能な要因(努力・戦略)をほめる

努力は自己責任であり、自分でコントロールすることができます。ここをほめられると「次も頑張ればできる」という成長意欲が高まります。逆に「才能」をほめられると、失敗したときには「自分には才能がないからやっても無駄」と努力しなくなっていまいます。

具体例
✕「君は計算の天才だ」
〇「計算方法を3パターン試して最速ルートを見つけた努力が成果につながったね」

3. 他者比較ではなく本人の成長・課題達成に焦点を当てる

「○○さんより上手」は一時的な優越感と同時に“負けられない”プレッシャーを生じさせます。他者と比較するのではなく、過去の自分と比較してどう成長したかほめるのが効果的です。

具体例
✕「部内トップの売上だったよ」
〇「先月より成約率が5%上がったね。仮説検証サイクルが機能してる証拠だよ」

4. 自律性を尊重する(コントロールしない)

人は「自分で選んだ」という感覚があるときにもっとも意欲的になります。人事評価や給料などと結び付けてほめられると、“やらされ感”が強くなり、かえって意欲を低下させてしまいます。

具体例
✕「この調子でがんばれば、今年のボーナスは期待できるぞ」
〇「そのやり方、自分で選んで工夫したのが良かったね

5. 達成可能で具体的な期待水準でほめる


高すぎる水準ではなく、頑張れば手に届く期待水準を具体的に示して褒めることで、次になにを頑張ればいいのか、挑戦する意欲がわいてきます。

具体例
✕「もっと良くして」
〇「次の報告書は図表を1枚追加して、要点を600字以内に整理できるとさらに伝わりやすくなるよ」

5 つのルールは 具体性・自律性・有能感 の三要素をバランスよく満たす設計図です。どれかが欠けると、せっかくのほめ言葉が「操作」や「お世辞」に聞こえ、逆効果になることも。“行動+効果+次の一歩” を意識して、ほめる力を磨いてみてください。