ひとりの賢者より3人の愚者〜みんなの意見は案外正しい

あなたはなにか難しい判断を必要とするとき、他人から意見を求めますか?それとも自分一人で判断しますか?
それぞれメリット、デメリットはありそうですが、様々な人から多くの意見をまとめてそれを平均すると、なんとほぼ正解に近い回答が得られるという不思議な現象が起こります。
なにか怪しいことのように思われた方もいるかもしれませんが、実は統計学者のフランシス・ゴートンによって、権威ある科学雑誌「ネイチャー」に実例として紹介されています。
牛の重さを予測する
イギリスのある牛の品評会で、「牛の重さ」を当てるコンテストが開かれました。最も正解に近い人には賞品が渡されます。800人ほどが参加し予測をしました。すると予測の中央値は543㎏になりました。
そして驚いたことに、なんと正解も予測の中央値に近い547kgだったのです!
このように、多くの人の予測から驚くほど正確な平均回答が導き出される統計的現象のことを、「群衆の知恵」といいます。
このほかに、ガラス瓶のなかに入っているキャンディーの数を当てるクイズや、選挙の結果を予測するような場合でも同様の現象がみられました。
なぜこのようなことが起こるかはわかりませんが、予測が正解に近くなる条件として以下の4つが挙げられます。
多様性:個々人がそれぞれ固有の情報をもつ
独立性:他人の考えに左右されない
分散性:個々人の知識に基づいた意思決定
集約性:情報をまとめるシステムが存在する
多様な人々から個別に意見をもらう
このことを踏まえると、ただ多くの他人から意見を求めればいいというわけではなさそうです。例えば、同じような考えを持った人々を集めて会議を開き、影響力のある人が発言してから意見を求めるようなやり方では、「群衆の知恵」は得られません。
似たようなことでブレーン・ストーミングという手法がありますが、このブレストも優れたアイデアは出にくいことが様々な実証研究からわかっています。
「群衆の知恵」を活用するためには、様々なバックグランドを持った人々から、個々に独立した意見を求めることがポイントです。
もし会議形式で議論する必要があるのなら、様々な階層のメンバーから事前にそれぞれの意見を書き出してきてもらい、それを発表してもらった方がいいです。
みんなの意見は案外正しいのです。