ムダのない完璧な計画があなたを忙殺している?!

ちょっと想像してみてください。あなたは、今月中に片付けなくてはならない仕事に追われています。
しかしデスクに目を向けると、山積みになった書類。パソコンには3日前から溜まっているメールに、さらには顧客からの催促の電話…。
そこであなたはこれらの仕事を限られた時間内で片付けるために、無駄のない緻密で完璧なスケジュールを立てました。
ところがこのスケジュールがさらにあなたを忙しくさせているとしたら…?!綿密なスケジュールがあなたからさらに時間を奪っていくのです。
忙しいのに手術室を空ける!?
アメリカのミズリー州にあるセント・ジョンズ病院は手術室の問題を抱えていました。手術室は常に予約がいっぱいで、もし急患が入ると、ずっと前から予約していた手術であっても、それをずらして対応するしかありませんでした。
そのため医師は簡単な手術を行うために何時間も待たなくてはいけなかったり、スタッフも予定外の残業を強いられることはしょっちゅうだったのです。
あなただったらこの問題をどう解決するでしょうか。
医師の数を増やす?それともスタッフの数を増やす?あるいは病室を1つ潰して手術室に改装することでしょうか。
答えはそのどれでもありませんでした。困り果てた病院が雇ったある有能なコンサルタントが出した答えは、“手術室をひとつ使わずに空けておく”というものだったのです。
手術件数が7~11%も改善
ただでも急患やらなんやらで手一杯なのに、手術室を1室空けておく?
それを聞いたある医師は当然の反応をしました。「私たちはすでに大忙しなのに、その私たちからさらに手術室を奪い取ろうなんて、まともじゃない」。
ところが、この一見無謀な施策が病院の手術件数を7~11%も改善させたのです。もちろんそれによって余分な人件費は抑えられ、収入は増加しました。
「計画的な手術」と「計画外の手術」
手術には2種類あります。ひとつは「計画的に行われる手術」。もうひとつは急患対応などの「計画外の手術」です。
大忙しの病院の手術室は、「計画的な手術」ですべて埋まっていました。そのため急患が来ると、すべての計画を再調整しなければいけませんでした。
そのことが結局「手待ち時間」を生んでいたり、残業の原因にもなっていたのです。
ぎっしり詰まった予定は、いったんその計画がズレると、まるで倒れだしたドミノのようにすべてやり直しになってしまうのです。忙しいときにこそ「余裕」が必要なのです。
”空白の時間”をスケジュールしておく
あなたがもし日々忙しいと感じているのなら、あえてスケジュールになにも予定の入っていない“空白の時間”をあらかじめ組み入れてみてはいかがでしょうか(ちなみに私は、1週間に3時間を何もしない時間としてスケジュールしています)。
なにか急用が入ったときはその時間を調整弁として使うのです。もしなにもなければ、そのときはボーっと過ごすのではなく、先の仕事を前倒しでその時間に行うのです。そうすれば、驚くほど時間に余裕が生まれてきます。
繰り返しになりますが、ポイントは、どんな忙しくても“空白の時間”をあらかじめ決めて、スケジュールに組み込んでおくことです。ぜひ試してみてください。