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人事制度構築

目標は秘密にした方がいい!?を科学する

いちど目標を決めたら、周りにそのことを宣言した方がいいと一般的には思われています。しかし科学的には、必ずしもそうとは限りません。
周囲に宣言した方がいい場合と、そうでない場合があるのです。

目標を口にすると満足してしまう

著名な心理学者であるピーター・ゴルヴィツァーは、ある興味深い実験を行いました。
実験参加者を二つに分け、1つ目のグループには課題に取り組むための目標をその場で宣言させ、もう一方のグループには宣言をせずに作業に取り組んでもらいました。

すると、宣言をしたグループの方が早く作業をやめてしまったのです!そして「目標達成にだいぶ近づいている気がする」と、まだ課題は途中にもかかわらず、満足してしまっているようだったのです。

様々な研究から目標を口にすると、まだ何も達成していないにもかかわらず、あたかも達成したかのように脳が勘違いをしてしまうことがわかっています。そのため「もう十分だろう」と、逆に目標に向かうモチベーションが低下してしまうのです。

目標を口にしても効果がでる!?

しかし一方で、目標を口にすることが目標達成を高めるうえで有効だという研究もいくつかあります。

人は誰かに自分の考えを公開すると、それを最後まで守ろうとする傾向があります(これを「公開宣言効果」といいます)。つまり他人から口先だけの人間だとは思われたくないということです。もちろん他人からだけでなく、自分自身にもウソはつきたくありません。一貫性を保とうと、目標を達成しようとするモチベーションが高まるのです。

では、目標は宣言した方がいいのか?しない方がいいのか?いったいどちらなのでしょう。

上手に目標を宣言する

これらのことから、上手に目標を宣言するためのポイントが見えてきます。

ポイント1:宣言は目標だけでなく、目標を達成するための「行動」も併せて行う
ポイント2:宣言する相手は、志しを同じにする仲間やチームに対して行う

宣言をするときは、目標を達成したときのポジティブな状態だけでなく、ある意味現実的な「行動」も宣言することがポイントです。目標達成に向けてどんな行動を取るのかコミットするのです。
これにより「満足」だけで終わるのではなく、実際の行動へと自分を駆り立てることができます。

宣言する相手も慎重に選ぶ必要があります。自分と関係のない相手では約束を守ろうというモチベーションは起きづらいですし、なかには他人が成功しようとすることを妬み、足を引っ張ろうとする人が出てくるかもしれません。
自分をある意味では監視してくれて、別の意味では応援してくれる仲間と目標を共有することが大切なのです。