テレビはすでにオワコンか?変化を読み取る「チカラ」

最近の若い世代はテレビをあまり視ず、YouTubeやその他の動画配信サービスを視聴している時間の方が長いそうです。それにともない企業が出す広告費も、インターネット広告がついにテレビなどのマス広告を追い抜きました。
はたして今後、テレビはどうなってしまうのでしょう。
映画VSテレビ
かつてテレビが登場する以前、大衆の娯楽は映画でした。ピーク時には、国民一人あたり年12.1回も映画館に足を運んでいたのです。映画俳優は「銀幕スター」といわれ人気を博し、憧れの職業でもありました。
ところが、1958年をピークに映画業界は衰退していきます。その原因は?言うまでもなく、テレビの登場にありました。
当初テレビは高額なものでしたが、東京オリンピックなどで一気に普及し、各家庭に1台以上が置かれるようになります。無料で気軽に視聴できるテレビはまさに革命でした。お金を支払って、映画館にまでわざわざ足を運ぶ必要がなくなったのです。

脅威はしばしば無視される
ところがテレビが普及しだした当初、映画業界はあまりその脅威を認識していませんでした。「無料で放映するテレビなんてたいしたものはつくれない」と高をくくっていたのです。映画俳優もテレビタレントは自分たちより格下とみなしていたようです。
しかしテレビタレントがお茶の間の人気ものとなり、テレビから映画俳優としてデビューするタレントが多く登場してきました。逆に、映画からテレビドラマやバラエティ番組に出演する俳優も増えていったのです。
歴史は繰り返される
この現象はまさに現代のテレビとYouTubeの関係に酷似しています。いまや子供たちにとってあこがれの職業はユーチューバーであり、人気ユーチューバーはテレビにも出演します。テレビタレントの多くもYouTube内に番組を持つようになりました。
脅威を感じたテレビ局もオンデマンド配信などいろいろ試みていますが、時すでに遅しです。もっと早いうちにWEB配信する動画コンテンツをテレビ局主導で構築しておけば状況は違ったかもしれませんが、それも今となっては後の祭りです。
同じようなことは別の様々な業界で見られます。例えば回転すしが登場した当初、職人がカウンターで握るお寿司屋さんは、「所詮は回転すしでは本物の寿司の味は出せない」と舐めてかかっていました。ところが最近の回転すしのクオリティには目を見張るものがあり、昔からの老舗のお寿司屋さんが閉店に追い込まれています。
どんなビジネスモデルもいつかは衰退していく
どうやら人は、新しく出てきたビジネスモデルに対して、悪いところを見つけて「自分たちは大丈夫」とある種、防衛本能的な根拠のない安心を抱くようです。そうして気づけば、自分たちの牙城はもろくも崩れ落ちていくのです。
かつて栄華を誇ったハリウッド映画は、テレビによってその市場の多くを失いましたが、「エンターテイメント」という新たなカテゴリーで息を吹き返しました。
時代の変化に目を向け、自分たちのビジネスモデルに対して常に疑いの目を持つことが大切です。そのなから新たなビジネスモデルを構築していくのです。