「自分ひとりでやる」VS「ギャラリーに見られながらやる」どっちがいい?

あなたは観客がいたほうがやる気が高まり、力を発揮できるタイプですか?それとも、一人でじっくり課題に取り組んでいるほうが落ち着いて集中力を発揮できるタイプでしょうか。
人それぞれタイプはありますが、自分が力を発揮できる状況とそうでない状況があることを知っていますか?
一番早くゴールにたどり着いたゴキブリは?
スタンフォード大学の心理学教授であったロバート・ザイアンスは、ゴキブリを使った興味深い研究を行いました。
ゴキブリというと、一般的に忌み嫌われる虫ですが、その行動は単純で、習性に基づく行動を観察する実験にはもってこいです。
ザイアンスは、ゴキブリを迷路に入れ、どのような条件下で迷路を脱出できるかを観察しました。その条件は以下の3つです。
ゴキブリが1匹だけ迷路に入り、他のゴキブリがいない状況でゴールを目指す
ゴキブリが迷路を進む間、他のゴキブリが透明な壁の向こう側から観察している状況
他のゴキブリと一緒に迷路を進む
すると、直線的で単純な迷路では、観察されていたり他のゴキブリと一緒にゴールを目指す方が、1匹だけの場合より早くゴールに到達することが分かりました。しかし、迷路が複雑になると、逆に1匹だけの方が早くゴールに到達することが観察されたのです。
ゴキブリも他人の目は気になる
どうやら誰かに見られていると思うことで、ゴキブリも「がんばろう」という気持ちが高まるようです。しかし課題が難しくなると、そのプレッシャーによってミスが増えるのです。
一方、単純な課題であれば、ただがむしゃらに進むだけなのでミスが少なく、早くゴールに到達できます。
ゴキブリのような単純な生物ですら他者の目が気になるのですから、人間を対象とした同様の実験でも同じ結論が導き出されています。
職場でも同じ
職場においても、単純で定型的な業務であれば、上司の監視下に置かれたり、同僚と競争させたほうが従業員のパフォーマンスは向上します。
手を抜いていることがバレれば怒られるかもしれませんが、逆に成果が上がれば褒められます。やるべき課題が明確であれば、あとはとにかくがむしゃらに取り組むだけでよいのです。
一方で、難しい課題の場合は、他人の目がかえって集中を妨げることになります。プレッシャーによって集中力を欠いてしまうこともあります。
プレッシャーや監視下では、複雑な仕事はパフォーマンスを低下させる要因になります。大勢の前での重要なプレゼンに上司も同席し、それを評価されるとなれば、緊張してうまく話せなくなることもあるでしょう。
部下がどのような仕事をしているかを見極めながら、監視するのか、遠くから見守るべきなのかを使い分けることが大事なのです。