「対面」VS「オンライン」どちらがアイデアを生む?エンジニア1,500人の挑戦

あなたは、対面での会議とオンライン会議、どちらが創造性を発揮しやすいと感じますか?最近のリモートワークの増加で、ビデオ会議が日常となった方も多いでしょう。しかし、実際のところ、どちらが新しいアイデアを生み出すのに適しているのでしょうか?
エンジニア1,500人が挑んだ実験とは?
コロンビア大学のメラニー・ブルックスらは、約1,500人のエンジニアを対象に、創造的な問題解決に関する大規模な研究を行いました。参加者は実際の職場環境で、ペアになって新製品のアイデアを考案するタスクに取り組みました。
条件は以下の2つです。
対面でのコミュニケーション:同じ部屋で直接話し合いながらアイデアを出す。
オンラインでのコミュニケーション:ビデオ会議ツールを使ってリモートで話し合う。
オンライン会議で減るアイデアの数 結果は驚くべきものでした。対面で話し合ったペアは、オンラインで話し合ったペアよりも多くの独創的なアイデアを生み出しました。具体的には、オンラインペアは対面ペアに比べてアイデアの数が平均で約20%減少しました。
しかし、意思決定の速さや効率性に関しては、両者に大きな差は見られませんでした。つまり、オンラインでも決定は迅速に行えるものの、新しいアイデアを生み出す力は対面の方が優れているということです。
なぜオンラインだと創造性が下がるのか?
では、なぜオンラインだと創造性が低下するのでしょうか?
視野の狭まり オンライン会議では、画面上の相手の顔に集中しがちです。そのため、周囲の環境や偶然の刺激から得られるインスピレーションが減少します。対面では、部屋の雰囲気や他の物体など、さまざまな要素がアイデアのきっかけとなります。
非言語的コミュニケーションの欠如 対面では、ジェスチャーや表情、視線の動きなど、非言語的な情報が豊富です。これらはアイデアの共有や発展に重要な役割を果たします。しかし、オンラインではそれらが制限され、コミュニケーションが平面的になりがちです。
認知的負荷の増加 オンライン会議では、技術的な問題や通信の遅延など、追加のストレスがかかります。これが認知的負荷を増やし、創造的な思考を妨げる要因となります。
職場でのコミュニケーションを見直そう
この研究結果は、職場でのコミュニケーション方法を見直す必要性を示唆しています。
創造的なタスクには対面を活用 新しいアイデアが求められるブレインストーミングや企画会議では、可能であれば対面で行うことを検討しましょう。
オンラインでも創造性を高める工夫を オンライン会議でも、バーチャルホワイトボードや共有ドキュメントを活用し、視覚的な情報を増やすことで創造性を促進できます。
ハイブリッドなアプローチ 意思決定の速さや効率性に関してはオンラインであっても対面に劣るこはありませんでした。対面とオンラインのメリットを組み合わせたハイブリッドな働き方を導入し、状況に応じて最適なコミュニケーション方法を選択することが重要です。
エンジニア1,500人を対象としたこの研究は、対面でのコミュニケーションが創造性において重要な役割を果たすことを明らかにしました。しかし、リモートワークが定着する現代において、オンライン環境でも創造性を発揮するための工夫が求められます。私たち一人ひとりがコミュニケーション方法を見直し、新しいアイデアを生み出す力を高めていきましょう。