先延ばしの原因を科学的に解説します!

「いまはなんだか気分がのらない」「今日は体調がすぐれない…」そんな理由でやるべき仕事を、明日に先延ばししたことはないでしょうか?
そして明日になると「今日は天気が悪くてなんだか頭痛がする」「朝の占いで凶が出た」と、自分に都合のいい理由をしてまた明日に先延ばしします。
この悪い癖は実は、未来の自分と今の自分が結びついていないことが原因かもしれません。
未来の自分は他人と同じ!?
UCLAのハル・ハーシュフィールド教授は、他人を思い浮かべているときと、未来の自分を思い浮かべるときとで、脳の活動の違いをFMRIという医療用機器を用いて比較してみました。すると驚くことに、他人を思い浮かべたときの脳の活動と、未来の自分を思い浮かべたときの脳の活動は、ほとんど変わらなかったのです。
つまり未来の自分をみるときは、まるで他人をみているかのようだということです。そして面倒な仕事をあたかも他人に引き渡すかのように、未来の自分へ引き渡すのです。これが先延ばしの原因の一つなのです。
未来の自分は過大評価してしまう
もう一つ興味深い研究を紹介します。
プリンストン大学のエミリー・プロ―ニン教授は学生たちを集め、ケチャップと醤油をごちゃ混ぜにした罰ゲームに使うようなドリンクをつくり、「研究のためにこれを飲んでください」と依頼しました。
いますぐ飲むように依頼された学生たちは「スプーン2杯ぐらいなら飲みます」と回答しました。ところが「次の学期に飲んでもらいます」と未来の自分へお願いしたお願いした学生たちは、その倍以上飲んでもいいと答えたのです。
未来の自分に先延ばしするとき、たいていの人は「未来の自分ならできそうだ」と甘く見積もってしまうようです。だから「いまやって欲しい」と頼むより「1か月後にやって欲しい」と頼む方が、面倒な仕事でも依頼を受けてもらえる確率は高まるわけです。
「きっと明日や明後日の自分ならできそうだ」と思えれば、いまの自分がとる行動はそう“先延ばし”です。
いまの自分と未来の自分を結びつける
しかし残念ながら、未来に先延ばししたところで状況が一変することはありません。いまの自分ができないのに、未来の自分ができる保証はどこにもないのです。いまの自分も、未来の自分も、同じ自分だということを認識しなくてはいけないのです。未来の自分にいまやるべきことを押し付けても、なにひとつ解決しません。
前述のハーシュフィールド教授は、いま賢い選択を取るための方法として「未来の自分を想像する」ことを勧めています。
例えば「いまここでやらなかったら、未来の自分はどうなっているだろう」「自分がいまやっていることを、未来の自分はどう思うだろう」そう想像するだけで、いまの自分と未来の自分が結びつき、いまやるべき正しい選択が取れるようになるといいます。
もし先延ばしをしそうになったらそのときは、未来の自分をいまの自分と結びつけて想像してみてください。そうすればあなたの先延ばし癖をきっと減らすことができるでしょう。