従業員を経営に参画させないでください。仕事の満足度が下がってしまします!

従業員に裁量権を与え、経営に参画させた方が、やりがいや満足度は高まると思われがちです。しかし、必ずしもそうとはいえないかもしれません。経営に携わらせることがかえってプレッシャーとなり、従業員の満足度が下がってしまうことがあるのです。
「充実した職務設計」と「高関与型マネジメント」
役割や責任が明確であり、より高いスキルを身に付けることができたら職務が上がり、それに伴い給料も上がっていくような「充実した職務設計」のある会社と、経営の意思決定に従業員も関わってもらう「高関与型マネジメント」を行っている会社とでは、どちらがパフォーマンスを上げることができると思いますか?
レスター大学のスティーブン・ウッド教授らは、この問いに答えるため、14,127人の従業員と11,77の職場データを分析してみました。すると意外な結果が得られたのです。
「高関与型マネジメント」は満足度を低下させる
どちらの手法も会社のパフォーマンスを上げることができそうです。結果は確かにどちらの手法であっても、労働生産性や財務成績、商品の品質にプラスの効果が確認されました。
ただし、従業員を経営に参画させる「高関与型マネジメント」を採用している企業では、従業員の仕事に対する満足度と不安感に対してはネガティブな影響があったのです。
なぜこのようなことが起こってしまったのでしょう?
経営を従業員に押し付けていけない
「高関与型マネジメント」は、経営に参画させることで、自分の責任の範囲を超えた組織的貢献を求められてしまうことがあります。それがプレッシャーとなり、不安やストレスを生じさせてしまっていたのです。
一方で「充実した職務設計」は、自分が成果を出してレベルアップする度に、そこでの達成感や責任感を感じて、より成長してやりがいのある仕事を望むように従業員は動機づけられていました。
従業員に裁量を与え、自律を促すことは良いことかもしれません。ただし、経営者が本来とるべき責任を放棄し、従業員に押し付けるようなことは決して正しい経営とはいえません。
従業員の力量に合わせた業務と責任を与え、少しずつ経験とスキルを身に付けながら成長を促すようなマネジメントの方が、無理なく組織のパフォーマンスを向上させることができるのです。