他人から笑われることをやれ!

革新的なこと(イノベーション)は、最初、他人の目からは奇抜で滑稽にすら映ることがあります。けれど、だから革新的なのです。
いまからおよそ50年ほど前に、メキシコ・オリンピックで金メダルを獲ったディック・フォスベリーという走り高跳びの選手をご存じでしょうか。
彼はそれまでの走り高跳びの常識を一変させました。
背面跳びはこうして生まれた
それまでの走り高跳びは、ベリーロールという腹を下に向けてバーに平行に回転しながら跳び越える方法が主流でした。
大学生になったフォスベリーも記録を伸ばそうと、新たにベリーロールを学びましたが、どうしてもうまく跳ぶことができませんでした。
もともと潜在能力の高い選手でしたが、次第にコーチも彼に期待しなくなっていきました。それでもフォスベリーはあきらめることができず、自己流で跳び方を練習し続けました。
バーを跳び越えようとあれこれ試行錯誤しているとき、偶然にも身体が地面と平行になるほど腰を上げてしまったのです。するとバーに触れることなく上手に跳ぶことができたのです。そこからヒントを得た彼は、背中を地面に向けて飛ぶ「背面跳び」を思いついたのです。
最初は誰もが笑った
しかし当時、背面跳びやっている選手は誰ひとりいませんでした。その滑稽な跳び方は周囲の笑いものになり、フォスベリーの跳び方を嘲笑するためにわざわざ来る人がいたくらいでした。
ところが1968年のメキシコ・オリンピック。その嘲笑は喝采へと変わりました。彼は2m24㎝というオリンピック新記録でみごと金メダルを獲得したのです!
まさに走り高跳びにイノベーションを起こしたのです。
革新(イノベーション)とは…
革新とは最初は滑稽に映るかもしれません。
立ったままフランス料理を食べる「俺のフレンチ」は、「フランス料理を立って食べるなんて頭がイカれてるんじゃないか、そんな店売れないよ」と最初は冷ややかな評価でした。
140文字で「いま何してる?」をつぶやくSNS(Twitter)が、こんなに流行るなんて誰が想像できたでしょう。
フォスベリーはあるインタビューでこう答えています。
背面跳びを始めたとき、自分の跳び方が走り高跳びの常識ましてや世界を変えるなんて思っていなかった。ただ走り高跳びを続けたい一心で練習していたんだ。
どんなに周囲から嘲笑されようが、たとえ反対されようが関係ありません。あなたが信じたことを最後までやり遂げる、それがイノベーションを起こすのです。