なぜ「仲間がいる」と思うだけで、人は1.5倍も頑張れるのか?

一人より同じ仲間がいると思うだけで、人はがんばることができます。たとえ一人だけで作業をしていたとしても、「他の人もがんばっているし、自分もがんばらなきゃ」そう思うのではなないでしょうか。それだけで励みになります。
今回は、仲間と一緒に作業をしているという感覚を持つだけで、一緒に作業はしていなくても、やる気が1.5倍以上も持続したという研究を紹介したいと思います。
協力か個人か
2014年に、スタンフォード大学の心理学者グレゴリー・ウォルトンとプリヤンカ・カーは、大学生を集めて難しいパズルを解くという課題にチャレンジしもらいました。
学生たちは次の二つのグループに分けられました。
「協力グループ」:参加者は、他の参加者と「一緒に」課題に取り組んでいると伝えられ、他の参加者からのヒントを受け取る、または自分のヒントを他者に提供するよう指示されました。
「個人グループ」:参加者は、他の参加者も同じ課題に取り組んでいるが、それぞれが独立して作業していると伝えられ、研究者からのヒントを受け取るよう指示されました。
仲間意識がやる気を1.5倍以上もアップさせる
すると、「協力グループ」は「個人グループ」に比べ、課題に取り組む時間が1.48倍から1.64倍も長くなったのです!それだけでなく「協力グループ」の方が課題への興味や楽しさもより強く感じ、疲労感さえも少なかったのです。それによって課題の成果も向上したのです。
どちらも作業そのものは一人で行っていましたが、仲間がいると感じただけで、やる気が高まり、疲労感も少なかったということには驚きです。
さらにこの研究で興味深いのは、どちらのグループも課題に対するヒントをもらえましたが、実はこのヒントはどちらも同じ内容だったということです。あくまで「仲間意識」が、モチベーションに影響を与えていたということです。
職場や仕事における仲間の価値
職場に同僚がいるからといって、必ずしも一緒に作業をするケースは多くはないかもしれません。しかし、いざというときに相談したり、励まし合える仲間がいると思うだけで心強くなるものです。
ときには同僚はライバルになるかもしれませんが、自分のやっている仕事を誰かが見ていてくれていると思えば、張り合いにもなるでしょう。
フリーランスで一人で黙々と仕事をこなす方が、気楽でいいという人もいるかもしれませんが、多少は人間関係でわずらわしく感じたとしても、仲間がいた方がやりがいは見いだせるのかもしれません。