「明日死ぬかも」が目標を達成させる

アップルを創業したスティーブ・ジョブズは毎朝、鏡をみてこう自問したといいます。
「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?」
人生は永遠には続かない…
しかし、ほとんどの人は自分がいつか死ぬとはわかっていても、そのことを意識して生活はしていません。けれど、いつか終わるという「期限」を設けたときに、人は高い集中力を発揮することができます。
死刑囚の作品はなぜ優れているのか
犯罪を犯した死刑囚を対象に行われたある研究があります。
受刑者たちは刑務所内での作業として家具や玩具などの製品をつくる時間があります。その作品を死刑囚とそうでない一般の受刑者たちとで比較すると、死刑囚のつくる作品の方が同じ条件下においては優れた作品をつくる傾向が高かったそうです。それはなぜなのか。
答えはいうまでもなく「期限」が定められていたからです。死刑囚はいつ刑が執行されるかを知らされていません。もしかしたら明日、刑が執行されるかもしれません。彼らにとってはその日その日が最後の日だと思ってある意味「集中」して生きていたのです。
死を意識するとパフォーマンが上がる
死刑囚の話は極端なたとえかもしれませんが、「期限」つまり「死」について考えるだけで、人は普段より多くのチカラを発揮することが科学的にも証明されています。こんな実験があります。
実験参加者にバスケットのフリースローを60秒行ってもらいます。
ただし、
(1)半分のグループにはドクロや「死」と書かれたTシャツを着る
(2)残りの半分には普通のTシャツを着る
つまり(1)のグループには作為的に「死」を意識させたわけです。すると、(1)のドクロ&「死」のTのシャツを着たグループのフリースローの点数が30%も向上したのです!
「死」を感じたことで「現在に全力を尽くすぞ」というモチベーションが上がったということです。
期限を決める。「いつか」はない
なにかを成し遂げるためには「期限」を定めることが大切です。その究極の期限は「死」ですが、そうではなくてもどうしても成し遂げたいプロジェクトがあるならば、絶対に先延ばしできない最終期限を決めることです。「何年の何月何日までに必ずこれを成し遂げる」と決めるのです。
時間は永遠ではなく限りがあると意識することで「今」に集中できるのです。そして決めた最終期限を毎朝、目に焼き付けることです。「いつか」はないのです。