集団になると人は”手抜き”をはじめる

一人より多くの仲間と協力して仕事に取り組んだほうが、生産性は上がると思われるかもしれません。
しかし、同時におなじ作業を行う場合は、むしろ生産性が下がってしまうことがあるのです。しかも、作業者の数が増えれば増えるほど、低下していってしまうのです。
一体どういうことでしょう?
人数が増えると手抜きをしてしまう
ドイツの心理学者であるリンゲルマンは、集団で協働作業を行うと、人数が増えるごとに一人当たりの作業量は減少することを、綱引きを使った実験で証明しました。
彼は綱引きを1人で行った場合と、多人数で行った場合の綱を引く力を測定しました。すると、、
1人の場合の力を100%として
・2人…93%
・3人…85%
・4人…77%
・5人…70%
・6人…63%
・7人…56%
・8人…49%
8人のときはなんと半分以下にまで低下してしまったのです!
いったいなぜこのような現象が起こってしまったのでしょうか。
社会的手抜き
このことを専門用語で“社会的手抜き”といいます。
人数が増えるほど「誰かが代わりにやってくれる」「一人ぐらい手を抜いてもわからない」という心理が働き、手抜きをしてしまうのです。
仲間同士で不足しているところを補い合うのであれば、生産性は高まりますが、同じことを同時に行うと、かえって生産性が低下してしまうことがあるのです。
さらにこれは意識してではなく、無意識に発生してしまうことが別の研究から明らかにされています。つまり人間は集団のなかにいると、つい手を抜いてしまう特性を持ち合わせているということです。
当事者意識を持たせる
では、どうやってこの社会的手抜きを防げばいのでしょうか。
社会的手抜きの原因は前述のとおり、当事者意識の欠如です。
であるとすれば、各個人それぞれが、当事者意識をもって仕事にあたるという姿勢が大事になってきます。それぞれの役割や責任を明確にして仕事を任せることが必要なのです。
評価もチーム単位で行うだけでなく、個人ごとに行うことも忘れてはいけません。
そうやって、当事者意識を持たせることで、“社会的手抜き”を抑制することができるのです。