優秀だと採用されない!?非合理な採用手順のワナ

採用面接を同じ部署で、今後一緒に働くであろう上司やその同僚が行うケースもあると思います。同じ部署であれば、求職者の適性もより正確に測定でき、採用した後もチームに馴染めそうだからです。
しかし、同じ部署のスタッフが採用面接をすると、その期待とは真逆の結果を招いてしまうことがあるのです。
自分と競合する人を避ける
ミシガン大学のスティーブン・ガルシアは、次のような興味深い研究を発表しました。
実験のために学生たちを集め、被験者の大学生たちに別の学生を、一緒に課題を解決するためのアシスタントとして採用するよう指示しました。すると数学が得意な学生は、自分のアシスタントとして自分よりも数学が劣っている学生を選ぶ傾向があることがわかったのです。
同様に、言語に強い学生は、言語が苦手な人をパートナーに選びました。逆に、数学が苦手な学生や言語が苦手な学生は、自分よりも数学や言語が得意な人をアシスタントに選ぶことに抵抗はないようでした。
つまり、人は従業員の採用を決める際に、自分と長所が競合しない相手をひいきする傾向があるということです。逆にいえば、「パソコンが得意なことに強みのある若手社員は、自分よりももっとパソコンが得意な新入社員が入ってくることを嫌に思う」ということです。
社会的比較バイアス
もちろん、自分とは違った才能をもっている新入社員を採用するのであれば、必ずしも組織にとって悪いことばかりではありません。しかし、その才能もいまの自分の地位をおびやかすような脅威と認識すれば、退けようとするのです。このことは「社会的比較バイアス」として知られています。
採用面接官は利害関係のない人を選ぶ
そういった意味では、利害関係のない人事部やあるいは経営者自らが採用面接にかかわったほうが良さそうです。もちろん採用予定先部署のスタッフから意見を聞くことはあるかもしれませんが、それだけを鵜呑みにするのは危険です。
私の会社でも1次面接は一般スタッフが行ないますが、経営者層が行う2次面接のまえには必ず「求職者のうちだれを1番に脅威と感じたか」と、1次面接を行ったスタッフに質問するようにしています。なぜなら脅威と感じた求職者は、能力が高い可能性があるからです。