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人事評価や賃金制度、企業型DC(確定拠出年金)導入のポイントなど、経営者や人事担当者に役立つ情報を発信しています。
人事制度構築

ひらめき「直観」が正しいワケ

将棋の羽生名人は盤面を見た瞬間に、直観的に次の一手が頭にひらめくそうです。そのあと長考するのは、思い浮かんだ手がほんとうに正しいか確認するためであって、結局、最初に思いついた手のおよそ7割が正しかったと述べています。

一瞬にしてウソを見破る

ある美術館に持ち込まれた高価なギリシャ彫刻が、本物かどうか確認するための科学的な調査が行われました。綿密な調査の結果、これは本物に違いないという結論に至りました。
ところが、経験豊富な美術史や彫刻に詳しい専門家にその彫刻を見せると、即座にして「偽物だ」と述べたのです。慌てて再調査したところ、実は贋作だったということがわかったのです。

直観は時として正しい

私たちは通常、物事を正しく判断するには感情的にならず、よく落ち着いて考えて判断するように教わります。様々な選択肢を比較検討し、最適なものを選べるようにするためです。しかし必ずしも毎回そういった判断ができるとは限りません。

たとえば先行きが不透明な経営状況のなか、少ない情報で意思決定をくださなくてはいけない場合や、今日中に難しい商談をまとめなくてはいけないとき、私たちは自分の「勘」を頼りにします。
しかし勘の方が熟考するより、時として正しい判断をくだせることもあるのです。みなさんも同じような経験をしたこともあるのではないでしょうか。

不確実な時代こそ直観を信じよう!

認知科学者のゲルド・ギゲレンザーは「周囲の環境の不確実性が高い(予測が困難)な状況では、直観を使った方が将来予測の精度の高い優れた意思決定ができる」と述べています。
不確実性が高い状況では、過去の実績や統計データのようなものは役に立たず、かえって間違った情報として判断を誤らせてしまうのです。
さらにいえば、よくわからない状況でどんなに最適な決定をくだそうと考え抜いても、結局答えは見つからず、なにも決めらないまま無駄に時間を費やしてしまうのです。
つまり、ある程度安定した予測可能な環境であれば、じっくり考えた方が適切な判断をくだすことができますが、不確実性が高い不安定な環境では、直観に従った方が良いということです。

直観を研ぎ澄ます

ただし、直観が正しいのは、先に述べた将棋の名人や経験豊富な専門家のような熟練者であって、素人の直観は間違えが多いということには注意が必要です。

直観は経験を積み重ねることで研ぎ澄まされていきます。
熟達した達人は、「大脳基底核」(だいのうきていかく)という脳の無意識の領域が活発に働き、大量のデータを瞬時に処理していることがわかっています。そのため、なぜその答えを選んだのか本人はうまく説明できないのですが、正しい答えを導き出しているのです。
熟練者は使用している脳の領域が、素人とは違うのです。

直観を信じて行動する

現代のような不確実性が高い経営環境においては、直観を信じ行動することの方が重要かもしれません。そのためにはマニュアルや先輩からの助言に従い、様々な経験を何度も積み重ね、直観力なるものを鍛えておく必要があります。
そしていざ必要となったときは、自分のこれまでの経験と勘を最大限に活かし、直観を信じ、自信をもって行動していくのです。