人事評価で大切な部下のマインドセット

こんな経験ありませんか?
人事評価の時期になり、あなたは部下にネガティブは評価を下さなくてはいけなくなりました。
ところが、仕事はあまりできない部下ほど、あなたの下した評価を素直に受け取らず反論してきます。逆に優秀な部下は悪い評価に対しても真摯に受け止めて、改善しようとする傾向があるのではないでしょうか。これはその個人の持つマインドセット(価値観)が大きく影響しています。
2つのマインドセット
著名な心理学者であるスタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエックは、長年にわたる研究から、人には「固定的マインドセット」と「成長マインドセット」のいづれかの価値観を持ち合わせていることを発見しました。
「固定的マインドセット」をもっている人は、能力は生まれつきのものであり、よっぽどのことがない限り変わらないという固定観念をもっています。一方で成長マインドセットの持ち主は、生まれつきの能力も努力次第で変えることができる、という信念をもっています。
固定的マインドセットの持ち主は、失敗することをひどく恐れます。失敗することは自分に能力がないということを認めることになるからです。失敗を認めたくないため、ウソをついたり上手くいかなかったことを他人や周りの環境など、自分以外のせいにするのです。
一方、成長マインドセットの持ち主は、失敗は成長する過程での通過点と捉えます。むしろ失敗から学び、成長しようとする姿勢がみられます。
もちろん、成長マインドセットの人も好んで失敗はしたくありません。しかし、結果的に一時的な評価が悪い結果になったとしても、他人や周りのせいにすることはあまりありません。失敗を自分事と真摯に受け止め、そこから学び、次に活かそうとするのです。
対照的な二人のプレーヤー
バスケットボールの伝説的存在であったマイケル・ジョーダンは、生まれもっての天才的プレーヤーだとみなされがちですが、決してそうではありませんでした。むしろかれは努力の人でした。ダンクシュートも、勝負を決めるシュートも、何度も失敗しました。しかし重要なのは、これらの失敗に対して彼がどう対応したかということです。ミスをした後、彼はそのミスショットを何度も何度も練習したのです。失敗から学び、弱点を補う練習が、ジョーダンに大きな成功をもたらしたのです。
同じようにゴルフ界の才能あるプレーヤーだったセルジオ・ガルシアは、悪い成績が出るたびにそれを他人のせいにしました。自分が悪いとは決して認めなかったのです。ある大会では怒りのあまりキャディーを次々とクビにし、しまいには自分の靴のせいにして、それを観客に投げつけたのです。この騒動で彼は自身の評判を一気に落としてしまいました。
固定的マインドセットに振り回されない
もしあなたの部下が失敗を認めず、他人のせいだと言ったとしても、それを鵜吞みにしてはいけません。その部下は、固定的マインドセットの持ち主の可能性があるからです。上司であるあなたは、失敗は批判的なことではなく、改善のための機会だとして、その失敗を部下が受け入れられるよう努めなくてはいけません。
もちろん固定的マインドセットを、成長マインドセットに変えることは容易ではありません。しかし固定的マインドセットのままでは、その部下の成長はそれ以上に望めません。粘り強く働きかけていく必要があるのです。
成功を学ぶためには、まず失敗を学ばねばならない。
私は9,000回以上シュートを外し、300試合に敗れた。決勝シュートを任されて26回も外した。人生で何度も何度も失敗してきた。だから私は成功したんだ。