至れり尽くせりの老人ホームには入るな!仕事は自ら考え行動する

もしあなたに召使いがいて、家事から犬の散歩までなんでも気を利かせてやってくれるとしたら、「どんなに楽ができるだろう」と想像するかもしれません。
しかしそれはあなたから自由を奪い、あなたを不幸にさせてしまうのです。なぜなら、それは他人があなたから選択肢を奪ってしまうことだからです。
看護師が何でも世話をしてくれる
ハーバード大学の心理学者エレン・ランガーは、高齢者介護施設アーデンハウスで入居者の自己決定に関する興味深い研究を行いました。
入居者を2つのグループに分け、一つ目のグループには、入居者一人ひとりに鉢植えを配り、鉢植えの世話は看護師がしてくれると伝えました。また映画を木曜と金曜に上映するので、どちらかの日に映画が見られるよう予定を組んで連絡するとも伝えました。
世話係は言いました。「この施設をみなさんが誇りに思い、幸せを感じられるような家にするのがわたしたちの務めです。みなさんのお世話をするために努力して参ります」と。
他人の世話はいらない?
もう一方のグループには、一人ひとりの入居者に好きな鉢植えを選ばせ、鉢植えの世話は自分でするように伝えました。そして映画上映会を毎週木曜と金曜に行うことを告げ、どちらの日に見てもいいと言いました。
世話係は、この新しい家を楽しい場所にできるかどうかは、入居者次第だということを強調し、こう告げました。「みなさんの人生ですよ。どんな人生にするかは、みなさん次第です」
それから6か月後、世話係がなんでもやってくれたグループの死亡率が30%だったのに対し、そうではなかったグループの死亡率は半分のわずか15%だったのです。
自分のことは自分で決める
人は自ら選び決定する権利を奪われると、途方にくれ、絶望し、抑うつに陥ることがわかっています。自分のことは自分で決めたいという欲求を持っているのです。
それは仕事においても同じです。自分の裁量がなく、会社からの指示だけに従い、ただ作業を淡々と繰り返す仕事は、ある意味では何も考えずに済む簡単な仕事かもしれませんが、決して楽しい仕事とはいえません。自ら考え、選択し、責任を引き受け自律的に仕事をすることが大事なのです。